收藏作品百選

台北市立美術館のコレクションは、1983年の開館から現在まで収蔵したものだけで、4000点余にのぼります。当館では、既に収蔵している作品について踏み込んで研究し、また未来の収蔵方針を検討していくために、2000年末からすべての収蔵作品の点検作業を行ってきました。同時に、2001年の初めより、コレクションを主体とした常設展を開催しました。これは、国内外から当館を訪れる観客や専門家の皆さんに、台湾美術がこれまで辿って来た発展の歴史を、まとめて知ってもらうことが出来るように、と考えたためです。2002年に開催した「コレクション常設展」は、二十世紀以降台湾で活動した芸術家たちを中心に、10年ごとに時期を分け、各時期の代表的な芸術家の作品を展示しました。展示作家については、台湾出身であるかどうかは問わず、長い時間をこの土地で過ごしているかどうかを基準としました。どの芸術家の作品からも、郷土への真摯な感情や、独特の造形・様式を見いだすことが出来ます。 これらの展示を通して、東西の文化的衝突下における芸術家たちの創作概念や、作品のフォルム、使用するメディアの転化と変遷について、理解することが出来るものと思います。また同時に、私たちが、目まぐるしく変化し、複雑に織りなされる環境に身を置いていることを、実感することも出来るかもしれません。 当館では、すべての人々に美術を楽しんでもらうという目的を達成するために、台湾近代美術の発展とその様相を明らかにし、2003年にも続けてコレクションの常設展を開催し、100点の作品を選出しました。老年・中堅・青年芸術家まで、すでに古典とされる作品を選び、台湾の芸術文化の背景となる歴史的コンテキストが、展示によって理解出来るように工夫しました。この時展示された100点の作品について編纂したのが、この「収蔵作品百選」です。この本によって、美術館がこれまで蓄積してきた素晴らしい芸術のエネルギーを、国内外の観客の皆さんに伝え、美術館のコレクション機能の優れた容貌と、今日の台湾における芸術の繁栄の様相をあらわし、一歩一歩発展してきた台湾の多元的な芸術世界を、映し出すことが出来れば幸いです。